セブン
セブン
「……仕込んでいた毒を使ったか」
苦しそうに息をつきつつ舌打ちし、バーンハルトは踵を返す。
だが彼の気力も限界に達していた。
(……く……そ……相当……まず……い)
眩暈が彼の頭を襲い、足元がふらつく。思考がとりとめもなく氾濫し、遂には砂漠の夜をも凌駕する闇に包まれる。
彼の耳は自身の体が砂に埋もれる音を聞く事は出来なかった。
幸いな事に、周囲を巡回していた部下に彼は発見され一命を取り留めた。まだ痺れは残っているが動けないほどではない。
治療を施し、待機しているバーンハルトとに通信機が回復し、アリーナからの報告が入ったのは十時間後のことだ。
「ご安心下さい。すでにレジナス司令が救援に向かっております」
「そうか。なら安心だな」
この十時間はどういう訳か追撃がなかった。用意周到な相手ならば二段にも三段にも構えているものなのだが。
「ですが……一つ、お伝えしなければならないことがあります」
告げるアリーナの声は沈んでいる。
「どうした?何かあったのか?」
一瞬の間。
「……黒死病の治療薬、及びワクチンなのですが……」
息を吸い込む気配が通信機に伝わってくる。
「……在庫の薬は……もう……ありません」
「な……に……?」
乾いた声が自らの鼓膜に響く。